AAF学校2009が昨日27日から始まりました。これから11月30日まで、全9回の講座が開催されます。
今年のテーマはズバリ「思考の基礎体力」。
会場は、アサヒ・アートスクエア。
この、有名な金色の炎(フラムドール)の、金色の炎の、金色の「炎」だからね!、の4Fにアサヒ・アートスクエアがあります。デザインは、フランス人デザイナー、フィリップ・スタルクさん。
この日は、ペドロ・コスタ『ヴァンダの部屋』の映像を流しながら始まりました。
初回は、五野井郁夫さんに政治学の研究者の立場から、「芸術と政治1」というタイトルでお話しをしていただきました。
五野井郁夫さんの専門は、政治・国際関係。ホワイトキューブの美術館の誕生から美術館による検閲について触れられ、政治と芸術のパラレルな関係性を明快に紹介いただきました。AAF学校の初回ということもあり、導入的な話題もたくさん盛り込んでお話しをしてくださいました。
クリエイティブシティにおける「都市ブランド」の方途に成り下がるアートへの憂い、さらには都市ブランディングによって、都市のブランドにそぐわないアートや個人的表現が排除される危うさを指摘されるなど、興味深い話がつづきます。
そして、1968年以降の世界的な運動の形が、Summer of Loveやラブパレードへと変遷し、一時的自律空間(Temporally Autonomous Zone)としてのフェス公共圏(festival public sphere)の獲得へとつながる一連の流れを押さえたのち、反G8や反WTO会議などで繰り広げられる非暴力的直接行動である祝祭的運動(=特定のアクティビスト主体ではなく、楽しみたい人々が集まることによって立ち上がる祝祭空間におけるパーティー等)がグローバル化していく経過を概観。つぎに、9・11によるテロと世界同時不況によってそれら人々が集う祝祭空間の排除へと至る経緯についても紹介していただきました。
最後には、
フラッシュ・モブを紹介。これらの活動にみられるDIY的要素や、たまたまその場に居合わせた人々も参加したくなるようなおもしろさ、他人に興味を持つ回路がうまれる可能性について指摘され、今後のアートへの期待をお話しいただきました。
アサヒ・アート・フェスティバルに参加する多くの団体は、商店街や街角、路上などをアートの場にすることによって、まさに生活を彩る活動をしています。これら路上は公共空間であり、政治の場。ここで行われる祝祭的性格を帯びた行動の一形態は、いわんやフェス公共圏の獲得であり、「芸術と政治」の直接的な出会いの場であるということが見えてきます。そのような思考回路でもう一度AAFの活動を再定義したときに、我々アートに携わる人間は、どのような立ち位置でどのように思考しつづけ、どのように繋がっていくことができるか、改めて考え直す必要があるなと思いました。ほんまに示唆に富むお話しでした。
さて、次回は、8月10日。美術ジャーナリスト・新川貴詩さんによる「芸術と戦後史」。五野井さんには政治学の視点から語っていただきましたが、今回はアートサイドの観点から美術館と美術館の検閲、ストリートへと飛び出したアート、さらにコミュニティに関わり始めたアートについてお話しいただきます。
会場は、アサヒビール本社3階の会議室になりますので、お間違え無く!!